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投資が面白くなり、これからどうしようか悩む日々

知らないより知っていた方がいい ~マネー教育~

2022年4月から新しい学習指導要領で、高校の家庭科で「金融教育」が必修科目となりました。
この金融教育義務化に伴い、㈱エイチームフィナジーが、成人向けにアンケートを実施した結果、
・自分の金融リテラシーが「高いと思わない」と回答した人は4割以上!
・正しく仕組みを理解している金融商材は「特になし」が第2位
・成人になる前に「お金の増やし方」「管理の仕方」を正しく習っておきたかった
・4割以上が「お金の知識が無いことで困った経験がある」
・約7割が「学校の授業で金融教育を受けておきたかった」と回答
 
大人のみなさんは「金融教育」について、若いうちに受けたかったようです。
 
では、今の高校での授業はどんなことを教わるのでしょうか?

金融庁のホームページには、授業用教材が公開されていましたので、少し見てみましょう。詳細は下記URLから。
 
◆教材タイトル:
「高校生のための金融リテラシー講座」
◆本講座の目的:
・自分の将来の暮らし方について考える(ライフプランニング)
・そのために必要なお金と準備の方法(家計管理・資産形成など)を学ぶ
・金融トラブルにあわないよう、手口や対処法を知る
 
◆テキストの目次はこんな感じです。

そして
テキストの「7.まとめ」部分が以下の(1)~(10)の10項目で、この授業を通して、高校生たちに知って欲しい内容のようです。
テキスト内容に関するダイジェストと私の個人的なコメントを付けました。
(1)ニーズとウォンツに分けて、お金を賢く使いましょう。
(2)家計管理をしっかりと行い、貯蓄できる仕組みを作りましょう。
 

モノを買うとき、それが必要なものか、単に欲しいものなのか、「節約」の概念を教えてくれそうです。収入と支出そして貯蓄という家計の仕組みや、さまざま支出の内訳など。さらに、給料明細の見方や「支給額」と「手取り額」なんかも説明してくれます。また、家計管理シュミレーターを使って、貯蓄のためには、支出を抑えなきゃいけませんよ、という基本的な家計の理解を深めています。

 
(3)自分が人生でやりたいことを考え、ライフプランを立てましょう。また、「教育」「住宅」「老後」という人生の3大費用を計画的に準備しましょう。
高校生にして、大人でも難易度の高い人生設計のお話です。どんな仕事に就くか、結婚するのか、子供つくるのか、どこに住むのか、家を買うのか、何歳まで働くか、老後どんな生活をしたいのか? 50歳を過ぎた私でも、いまだに悩むような内容もあります。若い高校生に向かって、「老後」なんてイメージが湧くのでしょうか?印象的だったのは、正社員か非正規かの雇用形態による年収格差の話も含まれてました。
 
(4)ライフプランに合わせて、社会保険、資産形成、民間保険の利用を組み合わせましょう。
保険の仕組みや、長い人生のさまざまなフェーズやイベントにおいて、そのお金をどう準備するのか、というお話です。保険か、年金か、自己資金か。
 
(5)金融商品の特徴を理解し、目的別に金融商品を活用し、将来に向けて準備をしましょう。
預貯金・債券・投資信託・株式など、それぞれの長所と短所の説明。リスクとリターンの関係性や複利効果のお話もありました。ここでも、資産形成シュミレーターなんかを使って、利率や期間に応じて、長期積立投資や複利効果なんかを疑似体験できるみたいです。「元本割れ」なんてワードも出てきます。
 
(6)投資とは自分の資金を経済活動に提供することで、利益の一部を受け取ることです。経済活動により、 私たちの生活が より豊かで便利になります。
ESG投資なんかを例に挙げて、投資に対してポジティブな印象を与える努力を感じます。投資に対するイメージ形成については、教える先生の主観や説明の仕方で、かなり受け取り方が変わってくると思います。
 
(7)お金を借りる際には、事前に 返済のイメージを持ちましょう。 金利や借り過ぎには注意が必要です。
クレジットカードや、リボ払い、キャッシング、ローン、多重債務など、借金のリスク面を強調しています。また、高校生にとって現実的な話では、大学進学コストと奨学金の話もありました。ここでも借金シュミレーターを使って、支払利息の怖さを教えてくれます。
とても面白かったのは、例題で次のようなのがありました。「年利16%で20万円借りたら、返済に何年かかり、返済総額はいくらか?」どんな怖いところで借りたんでしょうね。笑。
 
(8)金融トラブルの手口を知り、トラブルを避けましょう。トラブルに遭ってしまったら、188番に電話して相談しましょう。
SNSなどを通じたトラブルの具体例を幾つか挙げて、注意喚起します。世の中には一見オイシイ話が転がってますから、ここは大事です。
 
(9)キャッシュレスの活用が進んでいるように、これからも新しい金融商品・サービスがでてきます。今後も必要な知識を身につけ、うまく活用しましょう。
最近増えているキャッシュレス決済のメリットやデメリットの説明です。おそらくテキストを作成した本人たちでも、最近は新しいモノが、どんどん出てくるので、みんな頑張って遅れずついていこう!って感じですかね。
 
(10)この講座をきっかけとして、みなさんが少しでも「金融」に興味を持ってくれたら幸いです。
ここが編纂者の正直なところでしょうね。この教材でちゃんと伝わってるかなぁ。興味持ってくれるかなぁ。「手探り」を感じる一文です。
 
 
実際のところ、どのくらい時間かけて授業をするのか知りませんが、テーマは盛りだくさんで、興味深い内容です。冒頭のアンケートで、「金融教育を受けたかった」と回答した大人たちが、知りたかった内容なのかは微妙ですが、
知らないよりは、知っていた方が良いでしょう。
これをきっかけに興味を持つ高校生がいれば、さらに深堀りして学んでいくでしょうし、考えるチャンスを与える良い試みだと思います。この知識をベースにして、真の学びは、彼らの長い人生の中で得られることでしょう。
 
私自身も、このテキストを読み進めながら、気づきがありました。
「高校で金融教育の義務化」と聞いて、政府の推進する「貯蓄より投資へ」という流れを加速したいのかなぁ、と漠然と思っていましたが、違いますね。
 
これは「人生」と「お金」の授業です。
 
「人生」と「お金」の話って、常に自分たちの身近な問題のはずなのに、なんとなくタブー視されていて、若いうちは、話題に上がらず、私自身、あまり深く考えないで生きてきた気がします。まともに考え出したのは、40歳を過ぎた頃からでしょうか。
しかし、時代は変わりました。
今の若者たちは、中学校で職場体験授業をしたりして、将来の具体的な職業を意識し考え始めます。その上、これからは、高校で、「人生」と「お金」について、それも「教育」「住居」「老後」なんてことまで、意識させられるんですから、スゴイ時代になってきました。
 
彼らが大人になったとき、どうなっているんでしょうね。。。